元号改元におけるひとつの節目を迎えた日本、生い立ち由来などがメディアの中で飛び交う今日ですが、大宰府天満宮をはじめ、坂本神社も近年にない賑わいを見せているそうです。
もちろん、『万葉集』という名前はみなさんご存知だと思います。
学校の授業でも出てきますし、「令和」のおかげで少なからずも耳にしたことだと思います。
では、『万葉集』とは何か、またいったいどんな書物なのか、そしてこれだけ膨大な歌をどのように集めたのかを掻い摘んで記していきたいと思いますね。
興味のある方はお読みください。
万葉集とは?!

古くは勅撰(ちょくせん)だと考えられていましたが、契沖(けいちゅう)の私撰説がだされてからこれが有力になっています。
編纂時期も定説では奈良時代の末期とされていますが、確固たる確証はありません。また、編纂者にしても「橘諸兄」、「大伴家持」、「藤原真楯」などがあげられてきましたが、契沖が家持説を提唱してからそれが有力視されています。
もっとも家持が一度に編纂したのではなく、古くから何人かが集めておいたものを受け継ぎ、自分の手元の歌を加えて20巻にしたと考えられています。
和歌の原点である『万葉集』は、時代を超えて読み継がれながら、後世の作品にも大きな影響を与えており、日本文学の第一級の史料ですが、方言の歌もいくつか収録されており、さらにその中には詠み人の出身地も記録されていることから、方言学の史料としても重要な位置にあります。
「万葉集」以前の歌集
では、『万葉集』が20巻にまとめられる以前に成立していた歌集には、どのような書物があったのかを紹介していきます。
古歌集
『万葉集』に「古集」ともみえるものも同類と思われます。編者は不明で、多くは作者不明の歌ですね。
『万葉集』巻二の89、巻七の1255から1267の13首、1270、巻九の1770と1771、巻十の1937と1938、巻十一の2363から2367の5首がみられます。
柿本朝臣人磨歌集
人磨の作歌のほか他人の歌も収められており、多くの歌が『万葉集』に採られています。
『万葉集』巻二の146、巻三の244、巻七の1068、1087、1088、1092、1093、1094、1100、1101、1118、1119、1187、1247から1250の4首、1268、1269、1271、1272から1294の23首、1296から1310の15首
巻九の1682から1709の27首、1720から1725の6首、1774、1775、1782、1783、巻十の1812から1818の7首、1890から1896の7首、1996から2033の37首、2094、2095、2178、2179、2234、2239から2243の5首
2312から2315の3首、2333、2334、巻十一の2351から2362の12首、2368から2516の148首、巻十二の2841から2863の23首、3127から3130の4首、3253から3347の94首、巻十四の3417、3470、3481、3490がみられます。
『万葉集』の旋頭歌(せどうか)の大半は、柿本朝臣人磨歌集からでているみたいですね。
類聚歌林
この歌集は「山上憶良」が歌を分類して集めたものです。
『万葉集』の巻一の6の注記、巻二の85の歌、90の注記、202の注記、巻九の1673の注記にその名がみられます。
笠朝臣金村歌集
金村が自作の歌を集めたものと思われますが、「右は作者いまだ審ならず。但し笠朝臣金村の歌の中に出づ」とか、「右は笠朝臣金村の中に出づ。或るは云ふ、車持朝臣千年の作れるといふ」などの注のみえる歌もあります。
『万葉集』巻二の230、231、232、巻三の365、366、369、巻六の950から953の4首、巻九の1785から1789の5首がみえます。
高橋連虫磨歌集
虫磨自作の歌を集めたものです。
『万葉集』巻三の319、320、321、巻八の1497、巻九の1738から1760の22首、1780、1781、1807がみえます。
田辺福磨歌集
これも福磨自作の歌を集めたものです。
『万葉集』巻六の1047から1067の21首、巻九の1790から1794の5首、1800から1806の7首、が見えます。
『万葉集』のまとめ

また、大伴旅人・家持・坂上郎女(さかのうえのいらつめ)をめぐる大伴一族や、その関係者の『万葉集』に占める位置も重要であると考えます。
大伴一族で万葉歌人と呼ばれる人は30人を超え、その歌は約760首を数えます。『万葉集』4500首の17%にも及ぶということですね。
中でも大伴家持の作歌は、長歌46首、短歌431首、別に連歌1首、計478首を数えることができます。これは大伴一族の作歌約760首の6割を占めることになります。
この数は「山部赤人」の10倍、山上憶良の6倍にあたります。柿本人磨の作歌の数も家持には及ばないですね。
私が思うにこうした家持の歌にかける情熱が『万葉集』の歌を集めることを可能にしたのではないかと考えています。
※現在では『万葉集』に関する書物は数多く出ています。
白文的な本も直に接すると考え深いものがありますが、とりあえずはわかりやすい本から入っていき、「令和」に通ずる和歌・短歌・長歌・連歌などを感じてみるのもいいのではと思います。
また、ご機会があればお寄りいただければ幸いです。今日は最後までお読みいただきありがとうございました。
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